2011年に鑑賞した映画リスト覚え書き(上半期)

暮れも押し迫り、そろそろベスト選出の季節となりました。それに先駆け、2011年に劇場で観た映画をリストアップします。まずは上半期、1〜6月。


1月

トロン:レガシー
エリックを探して
極悪レミー
スプライス
ソーシャル・ネットワーク
ばかもの
グリーン・ホーネット
イップ・マン 葉問

1月は計8本。新年一発目に『トロン:レガシー』を観たときには、「ああ、なんで初っ端からこんなの観てしまったんだろ…」と悲しい気持ちになりましたが、その後は良作揃い。今年を代表するの話題作『ソーシャル・ネットワーク』で興奮したことや、当初、スルー予定でしたがtwitterでの好評さに影響されて観に行った『ばかもの』が結構な拾い物だったことが印象的。


2月

デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜
RED
冷たい熱帯魚
たまの映画
毎日かあさん
ヒア アフター
ソウル・キッチン
英国王のスピーチ

2月も新作は8本。これ以外に「午前10時の映画祭」で『シザーハンズ』を鑑賞。この中では『冷たい熱帯魚』、『たまの映画』、『毎日かあさん』の日本映画3作がどれも印象に残ってます。その中でも『冷たい熱帯魚』は上映後に園子温監督のティーチインもある特別先行上映会に参加という貴重な体験も出来ました。



3月

MAD探偵
kocorono
悪魔を見た
シリアスマン
単身男女
ドリーム・ホーム
ランナウェイズ
トゥルー・グリット
塔の上のラプンツェル
わたしを離さないで

「大阪アジアン映画祭」での先行上映も含む合計10本。この他には同じく「大阪アジアン映画祭」で『下女』を鑑賞。そのイベントでワールドプレミア上映されたジョニー・トー監督のラブコメディ『単身男女』が素晴らしかった。だけど、まだ日本公開決まってないんだよねー。あー、勿体ない。


4月

ファンタスティック Mr.FOX
SOMEWHERE
ザ・ファイター
making of LOVE
堀川中立売
ビー・デビル
KG カラテガール
エンジェル ウォーズ
コリン
孫文の義士団
イリュージョニスト

アカデミー賞ヴェネツィア国際映画祭受賞の話題作からインディペンデント系の注目作まで幅広く鑑賞した11本。余程、暇だったんだろうねw 公開前からトンデモ邦題が話題だった『エンジェル ウォーズ』を遂に鑑賞したのもこの月だったか。


5月

イップ・マン 序章
八日目の蝉
ブラック・スワン
ブルーバレンタイン
スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
昼間から呑む
アンノウン
富江 アンリミテッド
アジャストメント

新作映画は合計9本。これ以外に「午前10時の映画祭」で『ブラック・サンデー』を鑑賞してます。この月はやはり公開初日に鑑賞した「女子プロ版『レスラー』」こと『ブラック・スワン』と、これまたインパクトのある邦題の『スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団』がとても印象深い。逆に『アンノウン』とかは次月に観た『クロエ』と記憶が交じっている。どっちもざっくりいえば「リーアム・ニーソン夫妻がいろいろたいへんな目に遭う」みたいな作品だったはず…。


6月

ミスター・ノーバディ
キッズ・オールライト
メアリー&マックス
クロエ
さや侍
X-MEN:ファースト・ジェネレーション
スカイライン−征服−
プリンセス トヨトミ
ロシアン・ルーレット
SUPER 8/スーパーエイト
アリス・クリードの失踪
127時間

新作映画鑑賞数のみなら今年度最多の12本。普段なら『プリンセス トヨトミ』とか絶対観ないしw 印象に残った作品は『ミスター・ノーバディ』、『メアリー&マックス』、『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』の3作。とくに『X-MEN:1stジェネ』はtwitterでの絶賛ツイートの嵐がなかったら絶対に鑑賞してなかった作品なので、改めて「twitter始めて良かったなー」としみじみ。


…ということで上半期の新作映画の劇場鑑賞数は計58本となりました。さて、下半期の運命やいかに!(無駄に盛り上げてみた)

学生時代は帰宅部オンリーだった男のスポーツ映画ベストテン

滑り込みで「男の魂に火をつけろ!」(id:washburn1975)さんの「スポーツ映画ベストテン」に参加させていただきます。

http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20111101


1.『バトルランナー』(1987米/ポール・マイケル・グレイザー監督/アーノルド・シュワルツェネッガー主演/長距離走ほか)

誰が何といおうが個人的にオールタイムベスト級に大好きな作品。今作をスポーツ映画にカテゴライズしていいのか?という所も問題なのだが、まあ作品内の殺人ゲーム「ランニングマン」は長距離走だし、サブゼロとのバトルはアイスホッケーだし、バズソーとかダイナモモータースポーツだし、キャプテン・フリーダムはケーブルチャンネルでエアロビ番組やってるし、てか、演じるジェシー・ベンチュラはプロレスラーだし、ファイアーボールの登場とか何かロサンゼルスオリンピックの開会式みたいで…、まあいいじゃないですか!俺はデーモンが大好きなんだよ!
とりあえず全国民が見るべき名作には間違いないので、一刻も早くDVDを再発して頂きたい。その際には日本語吹替えは是非「日曜洋画劇場」ヴァージョンでお願いします。「決まったァ!!」


2.『レスラー』(2008米/ダーレン・アロノフスキー監督/ミッキー・ローク主演/プロレス)

アメリカンプロレス界の裏側を描いたドキュメンタリー映画ビヨンド・ザ・マット』(コチラも名作!)でのジェイク・ロバーツをモデルとした、80年代アメリカンプロレスの世界を生きた老レスラーの緩やかな破滅を描いた男泣き必至の傑作。役柄が自身のキャリアとも重なるミッキー・ロークが素晴らしいはまり役。この映画の影響で、これ以降の作品でのミッキー・ロークが全て引退したランディが役者として特別出演しているようにしか思えなくなる事態に。


3.『ローラーガールズ・ダイアリー』(2009米/ドリュー・バリモア監督/エレン・ペイジ主演/ローラーゲーム

主役のエレン・ペイジは勿論、ライバル役のジュリエット・ルイス、エレンのチームメイト役のドリュー・バリモアゾーイ・ベル、エレンと衝突する母親役のマーシャ・ゲイ・ハーデン…などなど各世代の女性陣が全員魅力的という奇跡のガールズムービー。この場合の「ガール」は少女も娘も女性も母親も含む。スポーツ映画的シーンとしては、チーム対抗パイ投げシーンもプロレス団体っぽくて好き。敵チームでも同じ釜の飯を食べてる感じが出ている(て、どこがスポーツ映画的だ)。


4.『カリフォルニア・ドールズ』(1981米/ロバート・アルドリッチ監督/ピーター・フォーク主演/女子プロレス

いわずと知れたプロレス映画の金字塔(とか、いいつつ最近ようやく観た)。白眉はクライマックスのタイトルマッチシーン。今や、すれっからしの中年となった俺でも、このくだりで子供の頃に観たプロレス中継での興奮、プロレスの醍醐味を思い出すことが出来た。プロレスラーのドサ回りを描くとロードムービーになるんだなとヘンなところで感心。てか、さっきからプロレスの話しかしてない。


5.『ロッキー』(1976米/ジョン・G・アヴィルドセン監督/シルベスター・スタローン主演/ボクシング)

以降のボクシング映画に多大なる影響を与えた名作。まあそれよりもロッキーとエイドリアンのスケートリンクでのしょぼくれたデートシーンが大好きなので。


6.『少林サッカー』(2001香港/チャウ・シンチー監督、主演/中国武術

面白い。ホントに面白い。ただただ面白く、そして熱い。それだけでいい。あ、でも剃髪姿のヴィッキー・チャオも可愛いのも大事。


7.『イップ・マン 葉問』(2010香港/ウィルソン・イップ監督/ドニー・イェン主演/詠春拳

「イップ・マンは序章より葉問!」を標榜している俺としては外すわけにはいかなかったので無理矢理ランクインさせた(因みに代わりにランク落ちしたのは『ロッキー4/炎の友情』)。これ一作でロッキー1〜4までが楽しめるという若干胃もたれするようなステキな作品。これでラストにイップ・マン師匠と李小龍の路上バトルがあったら完璧(『ロッキー5』オマージュ)


8.『がんばっていきまっしょい』(1998日本/磯村一路監督/田中麗菜主演/女子ボート)

世間的に未だに「なっちゃん」のCMが代表作の女優、田中麗菜主演の名作。劇中、田中麗菜はずっと不貞腐れてる感じなんだけどとても魅力的。やはり「スポーツ青春映画」と「アイドル女優映画」は親和性が高い。もう「有望な若手女優はスポーツ青春映画を絶対一本制作する」という法律を政令し施行すべき。


9.『ワイルド・フラワーズ』(2004日本/小松隆志監督/岡田義徳主演/女子プロレス

正直、他に挙げた作品と比べると数段落ちるとは思うが、女子プロレスという世間的にはまだまだ日陰の世界を題材に、王道のスポーツ映画のフォーマットを使いながら、ミスター高橋以前の虚実清濁を引っ括めたプロレスの魅力を描き出せていると思うのでランクインさせました。


10.チアーズ!(2000米/ペイトン・リード監督/キルスティン・ダンスト主演/チア・リーディング)

全く興味のないキルスティン・ダンストがとても魅力的で、あまり興味のないチアリーディングのパフォーマンスがとても魅力的で、まあまあ興味のあるチアコスがやはり魅力的だったので。


以上。ざっと見返してみると、アレだな。俺のとってのスポーツ映画は「リングと女の子」なんだな。ありがとう!このベストテンを選んだこと後悔してないよ!

ビクトリアレイク上湖作戦 『ピラニア3D』


主人公の青年が何故ピクシーズのTシャツを着ていたかは不明。




『ハイテンション』のアレクサンドル・アジャ監督作。
その昔、スティーブン・スピルバーグ監督は「うあああ!戦争で人体がぐっちゃぐちゃに破壊されてるシーン撮りてえぇぇぇ!!!もう、手とか足とかバンバン吹き飛んで、内臓とかでろんでろんはみ出ちゃう、そんな血みどろ映像が撮りたいよおうおうおううううう、ああああ!ぉうううぅぅぅ!」という自身の長年に渡る欲望を基に、そこにどうでもいい軍人さんの救出劇をちゃちゃっと付け足して『プライベート・ライアン』という作品を撮りました。結果、その生々しく臨場感のある20分にも及ぶノルマンディー上陸作戦の血塗れの戦闘シーンは高く評価され、それ以後の映画での戦闘描写・殺戮描写の演出に多大なる影響を与えました。それは「プライベート・ライアン以降」と引き合いに出して称される程の衝撃だった訳です。*1


そして『プライベート・ライアン』が世に出された数年後、リドリー・スコット監督は「よっしゃ!スピルバーグがあそこまでの演出を成すんやったら、ワシはそれの上を行く!!潔く戦闘シーンだけで一本撮っちゃろやないか!!」と、スピルバーグの戦争演出に対抗するかのように『ブラックホーク・ダウン』という作品を撮りました。これは約150分の上映時間のおおよそ90分が血と肉片に彩られたノンストップの戦闘シーンが延々と続く残酷地獄絵図という凄まじい映像体験でした。しかし、「リアルな戦争シーンの体験」という戦争映画ファンなら誰しもが望んだ構成であった筈の今作は、あまりにもやり過ぎた為(リアル過ぎた為)に、エンターテイメント性は消え失せ、娯楽としての戦争映画とは呼べない異質な代物になってしまったのです。


その先人達の失敗を踏まえて、アレクサンドル・アジャ監督は、本来なら『ブラックホーク・ダウン』のように、「ピラニア軍団*2による水着男女のノンストップ惨劇!血の池地獄」だけを撮りたい気持ちをグッと堪え、そして『プライベート・ライアン』のように、取って付けたようなかったるい救出劇を挿入するだけなんて野暮な事をせずに、その替わりに、おっぱい!!おしり!!パイ!!オツ!!パイ!!オツ!!あと、ちんこ!!をたっぷりと詰め込んだ素晴らしい作品!それが今作『ピラニア3D』な訳ですよ!!だから、血みどろと切り株描写とおっぱいとおしりとチンコが大好きな方は観に行けばいいよ!!
ピラニア軍団*3の餌になった男女。浮かび上がるズタズタのおっぱいシリコン、その傍らを沈み行く千切れたチンコ、ソレに喰らい付くピラニア…、というエロとギャグと恐怖がミックスされた最高に素晴らしいシーンはスピ公にもリドスコにも撮れないよ!!何かが邪魔をして撮れない!!この時点でアジャはスピルバーグもリドリーも超えたね!よっ!名匠!アジャ監督!!



え?ストーリーの説明が全然無いって?知るか!そんなもん!!

*1:余談だが、『プリンセス・トヨトミ』の監督も「あああああ!綾瀬はるかのおっぱいが走ってゆっさゆっさするとこ撮りたいよおおおおお!あああぁぁ!おぅおうぉうおぅ!……おふぅ」という欲望に忠実なまま、そこに大阪国がどうのこうのとかいう、どうでもいいストーリーを付け足して、あの映画を撮ったんだと思うよ。構成が『プライベート・ライアン』と一緒だからね(冒頭とクライマックスの二回、綾瀬はるかが走り回ります)

*2:not拓ボン

*3:not志賀勝

サマソニ大阪に行ったという話の2

サマーソニック大阪2日目にも行ってきました。

(1日目の話はコチラ / サマソニ大阪に行ったという話 - 殺風景の記録 サマソニ大阪のミッドナイトソニックにも行ったという話 - 殺風景の記録 )


軽く寝坊して昼過ぎに到着。あー、今日も暑い。あまりの暑さに本日も速攻でソニックステージに逃げ込んだのだが、ちょうどセットチェンジ中。この時間は観たいアーティストも特に居ないので、とりあえずオアシスにて腹ごしらえ。場所的にちょうどTHE BAWDIESのライブの音が漏れてくるので、チキンカレー食いながら、緩やかに聴く。ストレートなロックでなかなかカッコいいじゃないですか。
さて、山登り。


Perfume

マウンテンステージ、めちゃめちゃ混んでる!今までで一番の混雑っぷり。このミーハーどもめが!!(俺含む)
1stの頃から聴いていながら、実はライブを見るのは初めて。生で見る彼女達は、まー可愛い。あー可愛い。えらい可愛い。間髪入れずに可愛い。もうこれだけで十分満足なのだが、ライブパフォーマンスも素晴らしい。前評判通り、キレキレのダンス。楽曲も新旧ヒット曲を織り交ぜた一見さんにも優しいセトリ。合間合間にユルいMCと、アイドルとして全く隙のない完璧なパフォーマンスでしたよ。個人的には1曲でも「近未来テクノ3部作」をやって欲しかったが。


Perfume様を心行くまで堪能し、いざ下山。と思ったが、マウンテンステージは目的を果たしたミーハーども(俺含む)による民族大移動状態で、入場規制ならぬ退場規制がかかるほどになっており、仕方ないので、しばらく待機。
しかし、この時間帯からのマウンテンのタイムテーブルだが…

YUIPerfume → TINIE TEMPAH → CHEMISTRYRIP SLYMEAVRIL LAVIGNE

って、1名を除けば、「ミュージックステーションスペシャル スーパーライブ」と言われても納得してしまうようなラインナップ。むしろTINIE TEMPAHがブッキングミスにさえ見える。

とか、考えている間に、ようやく移動出来る環境になったので、The Ting Tingsを横目に見ながら、ソニックステージに舞い戻る。ちょうどthe GazettEの後半くらい。


NICO Touches the Walls

おー、見た目に似合わず、なかなか骨太で格好いい音を出すじゃないですか。ちゃんと見たかったのだが諸々限界だったので、座って体力温存。したら、MCで「座ってる人たちも、体力温存したいのは分かるけど、手拍子してくれ!!」とステージ上から煽られる。 サーセン(笑)


□MUTEMATH

事前に動画サイトで2.3曲聴いただけと、ほぼ予備知識無しでのライブ体験だったのだが、これはカッコいい!!楽しい!!パワフルで躍動感があるライブパフォーマンス。ポップとサイケとフュージョンジャズとUKロックをミックスさせたようなクセのある楽曲の数々。メンバー全員演奏力も高い。その上、ドラムの人がヘッドフォンをビニールテープでぐるぐる巻きにしながら激しいドラミングを見せたり、ヴォーカルがキーボードの上に逆立ちしたり、ギターの人が数十個のエフェクターでノイズ繰り広げたり、メンバー皆でドラムを乱れ打ちしたりと、パフォーマンスでこれでもかと盛り上げる。彼等は間違いなくライブで見るべきバンドだな。初体験が生鑑賞で良かった。
後からファンの方に聞いた話によると、今回はフェスには珍しく、新曲を多く盛り込んだセットリストだったそうだ。それで、あれだけ一体感のある盛り上がりになるんだから彼等の実力は本物ということでしょう。


DEATH FROM ABOVE 1979

本日の俺メイン。だが裏がBEADY EYE〜The Strokesという事もあり、客入りもちょい少なめ。
ドラムとベースと、時々、シンセ(『東京タワー』風)。というシンプルすぎる構成ながら、それを微塵とも感じさせない、ストレートに突き進むセバスチャンのドラムと、うねりまくるジェシーのベースが作り出す分厚い音圧。見ながら『スコピル』のバンドバトルシーンでの音の怪物を思い出した(音楽のタイプは全然違うけどね)。特にジェシーは見た目も怪物。ヒゲの怪物。だが、多彩な顔を持つ楽曲で盛り上るパフォーマンスを見た後では、シンプルでストイックなロックンロールは多様さに欠けてて、ちょっと寂しい感もある。まー、アルバム一枚しか出してないしね。しかし、これまでのフラストレーションを爆発させるように、クライマックスに「Romantic Rights」の歪んだリフが炸裂。一気に会場のボルテージが上昇する。ヤバい!やはりこいつらカッコいいわ。とりあえず、新作発表してとっとと単独で来日してくれ!!テンカラキタシー!!


本日のベストMC*1

セバスチャン「誰かジャパニーズジョーク言って」
客「マイケル・ジャクソンの好きな色は!?」
セバスチャン「何色?」
客「アーオゥ!!(青)」
セバスチャン「え?」
客「アーオゥ!!(青)」
セバスチャン「どういうこと?意味分かんない」
客「…」

何だ、この不毛なやり取りは。


THE MARS VOLTA

DFA1979後、一旦、オーシャンに向かいThe Strokesをチラ見。ジュリアンが変な帽子を被っていない事を確認し、ソニックに舞い戻る。
本日のメインイベント。マイクをぶん回し、ライトに噛み付き、馬の被り物で登場し、ドラムセットから何度もジャンプを繰り返し、と猛り狂うパフォーマンスの「肉体担当」セドリックと、超絶テクと激烈なテンションで、複雑な拍子の楽曲を飛ばしまくる「頭脳担当」オマー率いるバンド勢が織り成す素晴らしい融合。アッパーとダウナーな刺激が混ざり合うプログレ的ギリギリのグルーブは、ライティング効果も相まって、まるで異世界への扉を開く為の呪術的な儀式のよう。こんな複雑で取っ付きにくい曲構成ながら、ラストはきっちりキラーチューンで締める凄まじさ。サマソニのラストに相応しい、神々しいまでの演奏でした。



てなわけで、俺のサマソニは終了。このあと、現地で知り合った遠方から来たライブ仲間を長距離バス乗り場まで見送り、終電ギリギリで帰宅。疲れながらもtwitterを覗いてみると、フォローしてる方々も数名、同じライブを見ていたようで、お互いに感想を述べ合ったりしての2次会的状況もまた楽しかったり。機会があれば、現地で乾杯したかったけどね(笑)



ちなみに14日のベストアクトはMUTEMATH(翌日、速攻でCD買った)。ベストソングはDEATH FROM ABOVE 1979「Romantic Rights」です。


そして、この日のベストパフォーマーは、裸足に短パンで、かなり動作の大きい多様なヘドバン(ラジオ体操の『身体を前後にまげる運動』や『身体を大きく回す運動』を超高速で行っているイメージ)を繰り広げていた the GazettE のファンの女性です。ライブ終了と同時に倒れ込み天を仰ぐ彼女の姿に小さく拍手を送りました。しかし、昨日のX-JAPANのファンの方々もそうだけど、ビジュアル系の熱心なファンって大変だなあと、つくづく感じましたよ。

*1:英語力の乏しい人間による聞き取りなので、間違ってるかも知れません。悪しからず

サマソニ大阪のミッドナイトソニックにも行ったという話

サマーソニック2日目の話の前に、軽くミッドナイトソニックのことを。
(1日目はコチラ/サマソニ大阪に行ったという話 - 殺風景の記録


レッチリをチラ見した後、ソニックステージへ。そこで昼間、ソニックステージでのライブ中に知り合い、一緒にミッドナイトソニックを乗り切る約束をした Aさん(仮名)と合流。とりあえず休憩も兼ねて屋外で待機。お互いに見たライブの感想を語り合う。


Aさんがレッチリ待機中にX-JAPANを見た感想。

「私、TOSHIってワイドショーで話題*1になってたときのイメージしか無かったから、今日のライブ見たら、激しいパフォーマンスをしていて、ちょっと意外でしたー」


……マジか!まさかのジェネレーションギャップ!!俺からしたらあの頃が意外すぎるのよ!!愛の詩をうたいたい!!


さて、気を取り直して、いざミッドナイトソニック!泣くもんか!


□SOUTH CENTRAL

容赦のない凶悪ハードコアエレクトロサウンド。休憩する隙すら与えない狂乱のノンストップ30分。クラブDJにとってNIRVANAの「Smells Like Teen Spirit」とかの大ネタはある種、御法度というか、よっぽど自信が無い限り恥ずかしくてかけられないだろう思っていたのですが、それを彼等は躊躇する事無くブチ込みやがりました。それも曲のピッチを下げ、一番の肝であるサビのパートをブツ切りにして無音状態を作り出し、敢えて客の盛り上がりを拒否する凶悪アレンジを施して。そして、戸惑うオーディエンスの顔をニヤニヤと見渡す彼等。やだ、意地悪!じらさないで!悪い男なんだから!


□808STATE

□Andy Fletcher

SOUTH CENTRALでの予想外の熱狂により、さすがにもう本気の限界が近づいていたので、ここは後方で放心状態のまま座り込んだり、屋外に出て雑談したり。今、思えばフレッチはちゃんと聴いとけば良かったかな。ここでの記憶は屋台の豚串が激マズだったことくらい。


□Peter Hook

遂に現れやがったな、ヒゲDJ!New Orderを解散させた恨み!!お手並み拝見といこうじゃないか!
選曲は予想通りNew OrderJoy Divisionのミックスが基本。そこにBlurの「Song2」やらClashの「London Calling」、ハピマンの「24Hour Party People」等の大ネタを要所要所にブチ込み多いに盛り上がる。しかし、どうにもフッキーのDJにより、イアンの、そしてバーニーの歌声が響き渡るという状況が、嬉しいような、腹が立つような、複雑な気分に。テメエでバンドを潰しておいて悠々と楽曲使って、楽しそうにプレイしやがって。別に活動休止で良かっただろう。解散しないで良かっただろうが…。と、喜び・怒り・悲しみが混じり合った感情でグチャグチャになりながら踊り狂ってましたよ。
でもまあ、俺にとって、New Orderに関わった人達と、彼等が発信する音楽に生で触れることが長年の夢だったので、その夢を(DJセットというイレギュラーとはいえ)叶えてくれたフッキーには感謝するよ。
ありがとう、ヒゲ野郎。



と、青臭い感傷に浸りながら、始発にて帰路に就く。次は2日目の話。

*1:TOSHIが自己啓発セミナーに傾倒し、洗脳され広告塔として利用されるという一連の騒動。その頃はアコースティックギターを片手に、俗にいう「癒し系」の曲ばかりを歌っていた

サマソニ大阪に行ったという話

2年振りにサマーソニック大阪に行ってきました。


炎天下の中を延々並んでシャトルバスに乗り込みようやく会場到着。まずTシャツでも購入しようと売り場に向かうも、これまた恐ろしい程の長蛇の列。グッズは早々に諦め、夏が苦手な不健康ロックファンのたまり場、屋内会場ソニックステージへ逃げ込む。やはり涼しい。ありがとうソニックステージ。


□THE MORNING BENDERS

あれ?この人たち四人組じゃなかったっけ?何故かスリーピース編成で行われたライブ。緩やかに漂うメロディアスな楽曲が爽やかで心地よい。既に疲れ果てていた俺の身体には、ちょうどよいユルさでしたよ。


□DEERHUNTER

シューゲイザーというかサイケロックというかノイズというか、まあカテゴライズは何でも良いけど、とりあえず、轟音で響き渡るギターサウンドの洪水に溺れ死んだ。幻想的ながらも少しダークな夢のような世界。これまた心地の良い。個人的にはもっと遅い時間に聴きたかったなー。


□METRONOMY

「曲の途中にあらぬ方向を向いて敬礼するバンドにハズレは無い」というのが俺の持論なのだが、彼等もやはり素晴らしかった。
個人的には、綺麗に完成された感の強い『The English Riviera』よりも、先人への憧憬と、荒々しい変態性が剥き出しの『Nights Out』の方が好きなのだが、今回のライブでは、その変態っぽさがキッチリと丸出しで、完全に独自の世界を造り上げていた。胸に輝くウルトラマンのカラータイマーみたいなライトとか、バックに映るヘタウマではなく、ただヘタクソなメンバーの似顔絵とかも意味分からなくて最高。是非とも、単独で見たいです。



ここで、野外に移動。


マキシマムザホルモン

オーシャンステージはかなりの動員。
全開のマウンテン以来、久々に見ましたが、ハコがデカくなっても全くぶれる事のないガッツリ高度な演奏力とナヲちゃんとダイスケはんの高度なMCトークが冴え渡る。もうトータルパッケージが完璧すぎて安心して見てられる。「安心して見てられるミクスチャーロック」って褒め言葉っぽくないけど。そら人気もあるだろうなという納得の出来でした。


本日のベストMC

ナヲちゃん「(決めのポーズが揃わない客に対し)ホントにあんまりダラダラやってると…、カレーが辛いつって帰っちゃうよ!」
ダイスケはん「あーあー(笑) この後、シャワーが熱いつって帰るから!」
ナヲちゃん「わー(笑) 大変なことに」

X−JAPANと同ステージで2つ前の出番での、このブッコミ。感動すらしました。


□P.i.L

この後のミッドナイトソニックに備え、ゆっくり座り込み待機しておこうと考えていたのだが、初っ端で「This Is Not a Love Song」をやられたら堪らん。ぶっちゃけ、別にセックス・ピストルズもP.i.Lもリアルタイム世代ではないので、思い入れも何もないのだが、生で見たジョン・ライドンの凄みにおののいた。若くして素晴らしいテクニックや音楽センスを持つミュージシャンはたくさんいるが、この「凄み」は色々とキャリアを重ねないと出せないと思う。


※余談だが、ライブ中、ライドンの手鼻のかみっぷりが顕著だったのが、とても可笑しかったので、その事をツイッター上で id:yosinote さんにツイートしたら、ブログにて「そんなん気にして見てない」と一笑に付されてしまった…。うそー、めっちゃ鼻かんでたやん。


Primal Scream

当初はレッチリと悩んでいたのですが、やはりスクリーマデリカ完全再現のプレミア感を優先し、このまま居残り。体力温存のため、PA横のフェンス辺りで鑑賞しようと思っていたのだが、1曲目の「Movin' On Up」で一気にボルテージが跳ね上がり、思わず中央前方まで駆け出す。観客も今日一番の大盛り上がりで、まさに巨大なダンスフロアの様相。そこら中、狂乱の宴となってました。もうとにかく最初から最後まで多幸感の塊のような素晴らしさに、テンション上がり過ぎて奇声を発しながら大騒ぎしてました。そして、大ネタ「Come Together」からの間髪入れずに「Country Girl」!! 何、この大盤振る舞い!! その後も「Jailbird」「Rocks」と定番ナンバーの連発の大サービスで、残りの体力を全て奪い去られてしまいましたとさ。
いやー、とにかく最高!!!!!でした!! ただ何曲かやってない曲もあるので「完全再現」ではなかったのはちょい残念。いや、贅沢は言うまい!





と、いうわけで、その後、レッチリを横目で見ながら(「Give It Away」も聴けてラッキー)サマソニ一日目は終了……、と、みせかけて、まだミッドナイトソニックがあるのだが、一旦、区切ります。
ちなみに13日のベストアクトはMETRONOMY(見る前から最高なのは決まっていたPrimal Screamは別格)。ベストソングはP.i.L「This Is Not a Love Song」です。



しかし、この日一番ロックだったのは、ジョン・ライドンでもプライマルでもなく、炎天下の中、わざわざ蛇革のスーツや真っ黒な特攻服に身を包んでライブ会場に来ていたX-JAPANのファンの方々だという事を最後に記しておきます。

許すはよし、忘れるはなおよし 『大鹿村騒動記』


でんでんも出てますが、怖くはないので安心してください。


阪本順治監督作。「忘れる」ことは最大の「許し」である。という言葉を聞いたことがある。確かに口では「許す」というのは簡単だが、「忘れる」というのはなかなか難しい。それが近しい人なら尚の事。


今作の表立ったストーリーは「300年以上前から伝わる大鹿村の名物行事、大鹿歌舞伎。その公演迄のドタバタ劇」だが、その本題は「風祭善(原田芳雄)の元へ、善の幼馴染み・治(岸部一徳)と、彼と一緒に駆け落ちした妻・貴子(大楠道代)が18年振りに帰ってくる。しかし、彼女は脳の病気により、記憶障害になって夫の事も、駆け落ちした事実も忘れてしまった。さて、善は貴子の事を受け入れ、許す事が出来るのか?」という、どう転んでも重苦しくなりそうな話。この重い設定を阪本監督と荒井晴彦の手腕が光る脚本で見事に笑いに転化させている。そして、それに応えるように原田芳雄大楠道代岸部一徳のベテラン俳優も、これまた素晴らしい演技で人情喜劇に仕上げている。
原田芳雄演じる風祭善は、一見、無骨だが、心根は優しく、情に熱い。大楠道代演じる記憶障害の妻・貴子は、立ち居振る舞いからして危うげでいて、ときに無邪気で何処かチャーミング。何と言うか「ほっとけない」と思わせる感じです。岸部一徳の治は、身勝手でだらしのない男なのだが、自然な感じで飄々としていて憎み切れない。この三人の会話のテンポが絶妙で、その間合いで多くの笑いを取っていました。(台所での、過去の事を詰る善と、頓珍漢な受け答えをする貴子のやり取りは見事)。もしや三人のキャスティングを念頭に入れて役柄をアテ書きをしたのではないかと思わせる程のはまり役でした。


そして、今作はコメディであると同時に、忘れること、そして許すことの困難さを描いた作品なのかなとも思いました。善は自分を裏切った貴子達を受け入れたくは考えるのだが、事ある毎に過去の記憶が思い出され、どうにも許しきれないでいる。貴子は自分の過去の行いを悔やみ、その記憶を心の奥深くに封印し、忘れ去ってしまう。そして、その記憶を思い出す事に恐怖する。しかし嵐の中、記憶の一部を取り戻した彼女は、その許され難き己の裏切りに自責の念に駆られ、悲嘆し、慟哭する。長い人生の中、お互いに、許す(許される)こと、忘れる(忘れられる)ことの難しさを感得しているのだろう。だからこそ、クライマックスの大鹿村歌舞伎本番で貴子が善につぶやいた言葉が心に沁みる。
全てをきれいさっぱり忘れて、許して、大団円というのではなく、その許されない、忘れられない想いも含めて、全てを受け入れる。少しだけビターだが、それが等身大なハッピーエンドなのだと、村へと繋がる陸橋を子供のように追いかけっこする三人の姿を見ながら思いました。