私的シネマベストテン2013

さて、年末なんで、何かに追われるかのように今年劇場で鑑賞した映画(おそらく139本)からベストテンを選定し、さっくりと発表したいと思います。ちなみに今年は全作品ランキングはしません(私事でバタバタし、年の中頃から何を鑑賞したかをメモしてなかったので)。年の瀬の忙しい中ですが、良ければお付き合いください。

ではどうぞ


1位 わたしはロランス

設定は変化球で、登場人物も個性的だが、描かれているのは普遍的な人間模様。それを巧みな演出で、3時間の長尺を飽きる事なく描き切る。リアリティとファンタジックを使い分ける画作りや、ここ一番の印象的な音楽の選曲等、全てに於いて素晴らしい。こんな凄い作品を監督したグザヴィエ・ドランはまだ20代前半だってんだからホント恐ろしいわ。



2位 パシフィック・リム

デル・トロ監督から全世界のチビッコ達に送られた季節外れのクリスマス・プレゼント。しかし、残念ながら、『モンスター・ユニバーシティ』を始めとしたファミリー向け映画と公開時期が重なるという不運もあり、本来、この映画を楽しむべき層に届かなかった。



3位 横道世之介

設定から「特定の時代を描いた映画」のように思われるが、これは年代に関係なく届く作品だと思う。物語自体は他愛ない学生時代の日常の出来事の連続(身近な人の死とか衝撃な告白とか、演出次第では大袈裟に見せる事も可能だが、敢えて抑えた演出にしていると思う)を描いているんだけど、それが最高に素敵すぎて、鑑賞中「このままこの時間がずっと続けば良いのに」とかぼんやり考えながら観ていた。



4位 キャビン

Tequila! is my lady!



5位 ウォールフラワー

劇中、使用される音楽の趣味がどストライクなのが何とも嬉しいやら恥ずかしいやらで、鑑賞中、何回か叫びそうになった。(多少強引な例えだが)これは昔の名画座定番2本立てである『ロッキー・ホラー・ショー』の世界に迷い込んだ『ファントム・オブ・パラダイス』のファントムという趣き。誰とも想いを分ち合えない才気溢れるファントムが、フランクン・フルター博士の一団と出逢い、そして…という話。



6位 パラノーマン ブライス・ホローの謎

80年代ホラーコメディ調の展開で語られる、悲しくて優しい人形アニメ映画のド傑作。とても素晴らしい作品なのに、この観られてなさっぷりは酷い。冒頭から色々と切な過ぎて、主人公のノーマンがひとり登校しているオープニングシーンで既に涙目だった。とても孤独で非力だけど芯の強いノーマンも素敵だけど、彼を信じてつるんでくれる友人ニールや、普段は弟をバカにしながらも、ココ一番は味方になってくれる姉コートニーも最高。



7位 嘆きのピエタ

昔から「唾棄すべき、最底辺の世界で綴られる美しい物語」に焦点をあてて多くの物語を描いていた(『悪い男』は唾棄すべきヤクザ男の糞純愛映画だし、『サマリア』はどうしようもない世界の女子高生の青春を描いている)キム・ギドク監督が、今回作り上げたのは「救いようの無い最底辺世界の親子愛」。唾棄すべき糞人物である主人公や、如何ともし難い状況に翻弄された哀れな人々が繰り広げる物語は、どうしようもなく哀しくて、衝撃的で、不快なのだが、何故か強く惹かれる。



8位 クロニクル

POV手法を多用したサイキックSF映画(日本で観ている身とすれば当然ながら『AKIRA』や『童夢』を想起させる)の体裁だが中身は青春残酷ホラー映画。現代版の男子学生バージョンの『キャリー』というところ。何よりこれだけ中身が詰まってるのを90分足らずでコンパクトに魅せる所。



9位 恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

インド映画ならではのリアリティ皆無の無茶な設定ながら、それ以上の無茶な展開と豪華絢爛な演出で、笑い、怒り、悲しみ、興奮と、こちらを飽きさせる事無くバンバン突き進み、ラストは感動の大団円で締めくくるという、これぞインドでしかできない理想的な超エンターテインメント作品。3時間があっという間に過ぎる。惜しむらくは、こちらにインド映画の知識が皆無だったので、途中のパーティシーンに出てくる人々が全く誰だか判らなかった事。多分、インドの人気俳優とか歌手とかが特別出演しているシーンなんだろうけど。



10位 マニアック

ウィリアム・ワイラー監督、テレンス・スタンプ主演の映画『コレクター』を「オールタイムベスト恋愛映画」に挙げている俺としては入れない訳にはいかない「スプラッター版『コレクター』」。
実際、今作のオリジナルとなる81年版(俺は未見)もそういった評価を受けたらしいが、主演をヒゲ親父のジョー・スピネルから繊細過ぎる青年イライジャ・ウッドに変更している事によって、俯瞰で観れば自己中心的でグロテスクな物語の中にも、美しさとやるせない悲哀を併せ持った作品になっていると思う。非モテおたく男子必見!



…と、いうことで

1位 わたしはロランス

2位 パシフィック・リム

3位 横道世之介

4位 キャビン

5位 ウォールフラワー

6位 パラノーマン ブライス・ホローの謎

7位 嘆きのピエタ

8位 クロニクル

9位 恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム

10位 マニアック


以上が2013年のベストテン。トップ2は確定で、20本足らずの候補から選びました。今年は結構すんなり決まったかな。
ちなみにワーストは、駄目だろうと覚悟して観に行った『劇場版 SPEC〜結〜 漸ノ篇 爻ノ篇』を除外すれば、ミュージカル映画に求めるモノが根本的に違い過ぎた『レ・ミゼラブル』です。


では、良いお年を!