ビクトリアレイク上湖作戦 『ピラニア3D』


主人公の青年が何故ピクシーズのTシャツを着ていたかは不明。




『ハイテンション』のアレクサンドル・アジャ監督作。
その昔、スティーブン・スピルバーグ監督は「うあああ!戦争で人体がぐっちゃぐちゃに破壊されてるシーン撮りてえぇぇぇ!!!もう、手とか足とかバンバン吹き飛んで、内臓とかでろんでろんはみ出ちゃう、そんな血みどろ映像が撮りたいよおうおうおううううう、ああああ!ぉうううぅぅぅ!」という自身の長年に渡る欲望を基に、そこにどうでもいい軍人さんの救出劇をちゃちゃっと付け足して『プライベート・ライアン』という作品を撮りました。結果、その生々しく臨場感のある20分にも及ぶノルマンディー上陸作戦の血塗れの戦闘シーンは高く評価され、それ以後の映画での戦闘描写・殺戮描写の演出に多大なる影響を与えました。それは「プライベート・ライアン以降」と引き合いに出して称される程の衝撃だった訳です。*1


そして『プライベート・ライアン』が世に出された数年後、リドリー・スコット監督は「よっしゃ!スピルバーグがあそこまでの演出を成すんやったら、ワシはそれの上を行く!!潔く戦闘シーンだけで一本撮っちゃろやないか!!」と、スピルバーグの戦争演出に対抗するかのように『ブラックホーク・ダウン』という作品を撮りました。これは約150分の上映時間のおおよそ90分が血と肉片に彩られたノンストップの戦闘シーンが延々と続く残酷地獄絵図という凄まじい映像体験でした。しかし、「リアルな戦争シーンの体験」という戦争映画ファンなら誰しもが望んだ構成であった筈の今作は、あまりにもやり過ぎた為(リアル過ぎた為)に、エンターテイメント性は消え失せ、娯楽としての戦争映画とは呼べない異質な代物になってしまったのです。


その先人達の失敗を踏まえて、アレクサンドル・アジャ監督は、本来なら『ブラックホーク・ダウン』のように、「ピラニア軍団*2による水着男女のノンストップ惨劇!血の池地獄」だけを撮りたい気持ちをグッと堪え、そして『プライベート・ライアン』のように、取って付けたようなかったるい救出劇を挿入するだけなんて野暮な事をせずに、その替わりに、おっぱい!!おしり!!パイ!!オツ!!パイ!!オツ!!あと、ちんこ!!をたっぷりと詰め込んだ素晴らしい作品!それが今作『ピラニア3D』な訳ですよ!!だから、血みどろと切り株描写とおっぱいとおしりとチンコが大好きな方は観に行けばいいよ!!
ピラニア軍団*3の餌になった男女。浮かび上がるズタズタのおっぱいシリコン、その傍らを沈み行く千切れたチンコ、ソレに喰らい付くピラニア…、というエロとギャグと恐怖がミックスされた最高に素晴らしいシーンはスピ公にもリドスコにも撮れないよ!!何かが邪魔をして撮れない!!この時点でアジャはスピルバーグもリドリーも超えたね!よっ!名匠!アジャ監督!!



え?ストーリーの説明が全然無いって?知るか!そんなもん!!

*1:余談だが、『プリンセス・トヨトミ』の監督も「あああああ!綾瀬はるかのおっぱいが走ってゆっさゆっさするとこ撮りたいよおおおおお!あああぁぁ!おぅおうぉうおぅ!……おふぅ」という欲望に忠実なまま、そこに大阪国がどうのこうのとかいう、どうでもいいストーリーを付け足して、あの映画を撮ったんだと思うよ。構成が『プライベート・ライアン』と一緒だからね(冒頭とクライマックスの二回、綾瀬はるかが走り回ります)

*2:not拓ボン

*3:not志賀勝