探偵!ナイトスクープ 『レイテ島からの葉書』

演出家の大根仁さんが、ここ最近のブログやTwitterでバラエティ番組「探偵!ナイトスクープ」の中の一本『レイテ島からの葉書』というVTRを話題にされてました。


大根仁のページ : 涙腺決壊 - ライブドアブログ


あまりの絶賛振りに興味をもったので、早速(動画サイトでなんやかんやして)見てみました。(ちなみにこの番組を見るのは数年振り)・・・結果、ホントに感動した!目頭熱くなった!そら泣くよ!!泣く!!こら大傑作だわ!!
「感動した」とか「泣いた」とか言うと、昨今のTV番組によくある、安易な演出で盛り上げるお涙頂戴的な番組を想像するかもしれないが、そういったベタベタなTV的演出は極力抑えて、あくまでバラエティVTRとして展開していき、クライマックスできっちり感動のオチを用意している。大根さんがブログで「構成も抜群でバラエティVTRとして起承転結が完璧」と語っているが、それと同時に短編の物語としても起承転結が完璧だと思いました。
それは、この番組のVTRの多くに言える事なんですが「過程を見せている」からだと思います。例えば今回のVTRの場合だと、答えを導くまでに3つの段階を踏むんですが、最近の情報量の多いバラエティ番組なら、スタッフが事前に下調べをして1,2の部分は割愛し、3のパートだけを引き延ばしにする構成が多いと思うんです。でもナイトスクープの場合は、その手間を芸人探偵と依頼者が自ら行い、間延びとも取られかねない部分も放送する。こういう構成は通常のバラエティ番組には珍しいのではないかと思います。視聴者に飽きられるのを恐れてないというか。
勿論、”事前にスタッフが下調べをして、番組上、ワザと回り道をする”演出なのかもしれません。以前に上岡龍太郎前局長(司会者的役割)が、局長時代に別の番組で「あいつら(芸人探偵)はワザと回り道するんですよ。で、最後には正解のところへ行き着きよるんです。そしたら、最初からそこへ行け!っ言うてるのに。多分、あいつら長い事テレビに映りたいからやで(笑)」という趣旨の事を冗談交じりで話してましたし。
少し話がそれましたが、こういった、バラエティ番組ならノイズとも取られそうな、回り道している過程を踏まえる事によって、この後の展開が、より良く伝わっていくのかなと思いました。起承転結でいう「承」の部分を丁寧に撮っていているんですね。

そして「転」の部分。大根さんは、この部分をこのように評しています。

特に「転」部分の、文字が判読されてゆく過程と、視聴者の興味の惹きつけと
次々と出てくるキャラクターたちの積み重ねが最後には「豊潤」という言葉を
使いたくなるほど。


ここから最後までの展開は本当に見事で、この「文字が判読されてゆく過程」謂わば"ヤマ場"のパートでも、TVによくある大仰な演出を排して、あくまで依頼者や協力者のリアクションに重きを置いているのが素晴らしい。特に、次々と新たな事実が判っていく依頼者の表情や、思わず漏らす言葉には、ついつい俺も目頭を熱くしてしまいました。

最後に「結」の部分。ここで、ほぼ唯一のTV的な盛り上げ演出(と言っても、テロップや音楽、写真のインサート程度)が入るんですが、それがまたベタながらも良い演出で、・・・もう号泣メーン!!(c)宇多丸)ですよ!!これは泣く!そりゃ泣く!滅茶苦茶素晴らしい!

それに全体的に「笑い」と「泣き」部分のバランスも良かったです。個人的に映画やドラマでも、「泣かせ」の要素が強いと、興ざめしたり、心に響かなかったりするんですが、このVTRは、その辺が絶妙だったと思います。まさかTVバラエティの、それもたった15分のVTRで、こんなクオリティの作品が出来るのか・・・。


とりあえず『レイテ島からの葉書』で検索したら何件か動画サイトがヒットするから、それをなんやかんやして見て下さい。ほんと凄いから!
しかし、久しぶりに見たが「探偵!ナイトスクープ」は侮れないな。まさか、今年最初の感動作が、映画じゃなくてバラエティVTRになるとは・・・。


【追記】
「レイテ島・・・」VTRのみの動画がアップされてました!削除される前に是非ご覧ください。アップされた方に感謝!

ttp://video.fc2.com/content/探偵ナイトスクープ/20110126t97VEtpC/