2012年に鑑賞した映画リスト覚え書き(上半期)

暮れも押し迫り、そろそろベスト選出の季節でございますね。その前に今年劇場で鑑賞した映画をリストアップしておこうかと。まずは上半期の1月から6月まで。


1月

永遠の僕たち
CUT
パーフェクト・センス
ホーボー・ウィズ・ザ・ショットガン
灼熱の魂
インビテーション フロム スパイク・ジョーンズ(アイム・ヒア、みんなのしらないセンダック)
フライトナイト/恐怖の夜
ヒミズ
ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
哀しき獣
海賊戦隊ゴーカイジャーVS宇宙刑事ギャバン THE MOVIE
サラの鍵
ブラッディ・パーティー

1月は計13本。あとリバイバル上映で『ひまわり』も鑑賞。この月は『灼熱の魂』や『サラの鍵』、『ホーボー・ウィズ・ザ・ショットガン』に『インビテーション フロム スパイク・ジョーンズ』とミニシアター系に印象深い作品が多いですな。中でも『灼熱の魂』は「このクソ寒い中、何でまたこんな心寒くなるモン観てしまったんだ…」とちょっと後悔しました。


2月

ダーク・フェアリー
ペントハウス
ラバー
キツツキと雨
J・エドガー
ドラゴンタトゥーの女
TIME
DOCUMENTARY of AKB48 Show must go on少女たちは傷つきながら、夢を見る
ヤング≒アダルト
人生はビギナーズ

2月は10本の鑑賞。予告編のトレント・レズナー大先生謹製「移民の歌」に公開前から大興奮だった『ドラゴンタトゥーの女』を遂に鑑賞した月であります。あと全くの想定外での鑑賞となった『DOCUMENTARY of AKB48』に「ア…アイドル業界はこええ、おっかねえ…」と恐れおののいた月でもある。


3月

ヒューゴの不思議な発明
メランコリア
おとなのけんか
ものすごくうるさくて、ありえないほど近い
ポエトリー アグネスの詩
SHAME
マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙
戦火の馬
トロール・ハンター
シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム

3月も新作映画の鑑賞数は10本。あと3Dリバイバル上映で『スター・ウォーズ エピソード1/ファントム・メナス』も観てます。この月は何と言っても『ヒューゴ』のマーティン・スコセッシ監督、『おとなのけんか』のロマン・ポランスキー監督、『戦火の馬』スティーブン・スピルバーグ監督と、名匠達の懐の深さ、健在振りに大喜びの月でございました。


4月

アリラン
ピープル vs ジョージ・ルーカス
スーパー・チューズデー 〜正義を売った日〜
マリリン 7日間の恋
ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜
ジョン・カーター
ドライヴ
バトルシップ
SPEC 天
アーティスト
マンイーター
Black & White/ブラック & ホワイト
別離
ピナ・バウシュ 夢の教室
コーマン帝国
KOTOKO
捜査官X
タイタンの逆襲

うわ、この月18本も観てるな。アカデミー賞ベルリン国際映画祭受賞の話題作にテレビドラマの映画版と多種多様なラインナップ。これだけあるとさすがに全く記憶に残ってない作品もあるが(ダメじゃん)。この中ならベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した『別離』や塚本晋也監督の『KOTOKO』辺りがかなり衝撃的であった。


5月

裏切りのサーカス
テイク・シェルター
孤島の王
ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン
ロボット
キラー・エリート
ダーク・シャドウ
王朝の陰謀 判事ディーと人体発火怪奇事件
虹色ほたる
ザ・マペッツ
ファミリー・ツリー
ル・アーヴルの靴みがき

新作映画は合計12本。これ以外に「午前10時の映画祭」で『ダーティ・ハリー』、『コーマン帝国』との連動企画「夜コーマン」で『ロックンロール・ハイスクール』を鑑賞してます。『ブライズメイズ』や『ザ・マペッツ』等のコメディ系映画が印象的。他にも今年は『ジョニー・イングリッシュ』や『ペントハウス』、『おとなのけんか』も面白かったし、コメディ映画に良作が多い印象。


6月

へんげ
私が、生きる肌
ミッドナイト・イン・パリ
ブレーキ
青いソラ 白い雲
サニー 永遠の仲間たち
幸せへのキセキ
アタック・ザ・ブロック
容疑者、ホアキン・フェニックス

この月は9本鑑賞です。この月は何と言っても『サニー』ですね。当初は全く注目してなかったのですが、twitterに流れてきた多くの絶賛ツイート(主に水道橋博士氏と花くまゆうさく氏のRTだった気がするが)のおかげで出会う事が出来ました。いやはや感謝感謝。


…てな訳で、ここまでの新作映画劇場鑑賞数は計72本。去年がここまでで58本だったので、かなりのハイペース。だが次回、好調に映画鑑賞を続ける我が身に衝撃が走る!!(誇大表現)

2012年に鑑賞した映画リスト覚え書き(下半期)

2012年劇場で観た映画リスト。続いて下半期。7〜12月でございます。(1〜6月はコチラで確認 /2012年に鑑賞した映画リスト覚え書き(上半期) - 殺風景の記録


7月

ベルフラワー
アメイジングスパイダーマン
愛と誠
ラム・ダイアリー
少年は残酷な弓を射る
崖っぷちの男
リンカーン弁護士
さらば復讐の狼たちよ
苦役列車
ヘルタースケルター
おおかみこどもの雨と雪
ムカデ人間
メリダとおそろしの森
ダークナイトライジン

7月は14本の鑑賞。この月は『少年は残酷な弓を射る』を観て「にぇにぇにぇにぇー!」と戯けたり、『ダークナイトライジング』を観て『デシ!デシ!バサラ!バサラ!』と雄叫びをあげたりと大忙しな月でございました。とくに『ダークナイトライジング』は普通の劇場とIMAXとで2回鑑賞したのですが、最初観たときとIMAX鑑賞では全く印象が異なり「やっぱ音響と映像って大事なのね…」と思い知らされもしました。


8月

それでも、愛してる
きっと ここが帰る場所
遊星からの物体X
ビッグ・ボーイズ しあわせの鳥を探して
桐島、部活やめるってよ
アベンジャーズ
マダガスカル
ヴァージニア
クレイジーホース・パリ 夜の宝石たち
トガニ 幼き瞳の告発
テイク・ディス・ワルツ
トータル・リコール

8月は暑い中12本の新作映画を鑑賞してます。あと「午前10時の映画祭」で『タクシードライバー』を鑑賞。しかし『それでも、愛してる』とか『きっと ここが帰る場所』とか、題名だけ聞いてもどんな映画だったかすぐには思い出せなかったよw(ビーバーとロバスミです)。特筆すべきは、やはり『桐島、部活やめるってよ』と『マダガスカル3』という全くノーマークのところからの大傑作を鑑賞できた事ですね。公開前から期待大だった『アベンジャーズ』はちょっと物足りなかったかな。


9月

プロメテウス
ディクテーター 身元不明でニューヨーク
ゴッド・ブレス・アメリカ

この月は引っ越しをする事となり、その手配とか荷造りとかでほとんど劇場に足を運べず、最も少ない3本のみの鑑賞。でも週一足らずで鑑賞はしているんだから、これぐらいが普通とも言えるが。しかし、鑑賞した映画は3本ともジャンルは違えど、とても印象に残る良作ばかりでした。


10月

ロック・オブ・エイジス
白雪姫と鏡の女王
夢売るふたり
エージェント・マロリー
アイアン・スカイ
ハンガーゲーム
推理作家ポー 最期の5日間
籠の中の乙女
コッホ先生と僕らの革命
ウェイバック -脱出6500km-
るろうに剣心
アウトレイジ・ビヨンド
ボーン・レガシー
キック・オーバー
アルゴ

10月は何かを取り返すかのように15本の鑑賞。途中で、うたた寝をしてほとんど記憶から消えている作品もあるけど。この中なら80年代ロックファン号泣の『ロック・オブ・エイジス』、ターセム監督の意外な器用さに吃驚の『白雪姫と鏡の女王』、松たか子の演技に(色々と)恐れ入った『夢売るふたり』辺りが印象的。


11月

危険なメソッド
レッド・ステイト
黄金を抱いて翔べ
ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-
ザ・レイド
悪の教典
HICK ルリ13歳の旅
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q
チキンとプラム 〜あるバイオリン弾き、最後の夢〜
人生の特等席

新作映画は10本の鑑賞。あと「午前10時の映画祭」で『ヤング・ゼネレーション』も観てます。この中ではシッチェス映画祭での限定公開だった『レッド・ステイト』やレイト上映のみだった『ゾンビ革命 -フアン・オブ・ザ・デッド-』が予想外の拾いものでした。


12月

007 スカイフォール
最強のふたり
ドリームハウス
砂漠でサーモン・フィッシング
フランケンウィニー
ウーマン・イン・ブラック 亡霊の館
思秋期
桃さんのしあわせ
ホビット 思いがけない冒険

12月は現時点で9本観てます。この中なら『007 スカイフォール』が、これぞボンド映画の集大成と言える素晴らしい出来でインパクト大でした。ちなみに『思秋期』と『桃さんのしあわせ』は大阪での上映は終了していたので、神戸まで足を延ばしての鑑賞でした。


てなわけで下半期、ここまでの新作映画劇場鑑賞数は63本。上半期と合わせて計135本となりました。去年が108本だったので、どんどん鑑賞ペースはあがっている算段になりますな。観た作品を振り返ってみると、去年と異なり、連れに誘われて観に行く機会が増えたので、鑑賞ジャンルの範囲が色々と増えた感があります。その中で思いがけぬ良作を発見出来たりしたのが、とても嬉しかったです。

で、この中から今年度のベストを選出する作業に大急ぎで取りかかるワケでございます(予定)。できれば今年中にやり遂げたいが…。


※追記:『エクスペンダブルズ2』を忘れてた!合計136本。消耗品軍団にボコボコにされる…。

怖いけど好きな映画ベストテン

約1年振りにシレッとブログを更新してみますよ。毎年恒例「男の魂に火をつけろ!」(id:washburn1975)さんの「映画ベストテン」企画に参加させていただきます。今年はお待ちかね「ホラー映画ベストテン」だ!

http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20121031

個人ルールとして「怖いけど大好き」な映画から選出させて頂きました。「好きだけどあんまり怖くない」とか「めっちゃ怖いけどあんまり好きじゃない」とかは除外。ではいきます。


1.『悪魔のいけにえ』(1974米/トビー・フーパー監督/マリリン・バーンズ、ガンナー・ハンセン主演)

言わずと知れたホラー映画の金字塔。もう冒頭の道路にアルマジロの死骸が転がってるシーンから不穏な空気が画面中を支配している。我らがレザーフェイスがドーン!と初登場して、金槌でボカーン!とやって、痙攣した若者をズルーッ!と引き摺って、重い鉄の扉をバーン!と閉めるシーンが最高。そのレザーフェイスとの長い長い追いかけっこの末、ようやくスタンドに逃げ込んで店員に助けを求められたと思ったら、実はキチガイ一家のお父様で…、という展開に心底絶望した事を覚えている(今思えば当然そうなるよねって展開だけど)。我が家の自室にポスターも貼っているし、DVDも廃盤品と再発のコンプリートBOXを持っているぐらい大好きだが、本当に怖いので滅多に観ない。


2.ゾンビ(1979米・伊/ジョージ・A・ロメロ監督/デビッド・エンゲケン・フォリー主演)

この映画が怖いのは「動きが遅い」のと「数が際限ない」ところ。ショッピングモールでのシークエンスなんかが顕著で、モール内での生活は、衣食住には困らないし、欲しい物は大抵手に入るしで、一見すればもの凄く楽しそうなんだけど、外に目を向けるとそこには、ゆらゆらと蠢く死者の群れが。単体の動きも遅いし単調なので「もしや逃げ切れるかも?」と思ってしまうのだが、その群れはどんどん増殖していき、ゆっくりと、しかし確実に生者を死へと導いていく。その緩やかな恐怖というか、徐々に死が迫っている圧迫感、閉塞感は絶望的でとても怖い。


3.イレイザーヘッド(1977米/デヴィッド・リンチ監督/ジャック・ナンス主演)

初めて観たのは、確か中学生だったか。地方局でテレビ放送されていたのを偶然観て、その訳の判らない展開と気味の悪い登場人物達(常人の発想とは思えない赤ん坊の造型の不気味さ!)、しかし、とても美しいモノクロの映像世界に目が離せず、合間にCMが入る度にホッと安堵の息をつき「よく判らんが、俺は今とんでもないものを観ている」と恐怖しながらも夢中になっていた。


4.レクイエム・フォー・ドリーム(2000米/ダーレン・アロノフスキー監督/ジャレッド・レトジェニファー・コネリーエレン・バースティン主演)

鑑賞中は自分の環境に置き換えて怖くなるし、鑑賞後はあまりの救いのなさにがっつり落ち込むし…というろくでもない映画。とくに後半の素直落下式DDT具合は半端なく、中でもエレン・バースティンが演じるお母ちゃんに降り掛かる悲惨なラストは本当に可哀想で怖い。ジェニファー・コネリーに降り掛かるラストはエロくて怖い(『饅頭怖い』的な意味で)。


5.ヘンリー(1992米/ジョン・マクノートン監督/マイケル・ルーカー主演)

淡々と、日常のルーチンワークのように大量殺人を犯すヘンリーの姿が理解不能で気味悪くて不愉快で、鑑賞後はかなり気が滅入った。直接的な殺人シーンはほとんどないのだが、充分に恐ろしい。でも冒頭に延々と映し出される幾人もの犠牲者の死体描写が奇妙に美しかったり。夥しい恐怖と狂気、そして、ほんの少しの美しさで作られた不思議な作品。


6.ノロイ(2005日/白石晃士監督/小林雅文(村木仁)主演)

個人的に日本映画においての恐怖表現の肝は殺人鬼やモンスターとかよりも、心霊や呪詛のような、土着的で我々の生活と地続きにあると感じさせるモノにあると思っている。そんな中でもタイトルに思い切り「呪い」と銘打った本作は、これらの持つ禍々しさをフェイクドキュメンタリーという手法でいやらしーく、しつこーく描いている、とても嫌怖い映画。レンタルしたDVDを夜中にひとりで鑑賞したので怖さが増幅された感もあるかな。これ映画館の大画面で観たら然程怖くなかったかも。テレビサイズのホラー映画。


7.キャリー(1976米/ブライアン・デ・パルマ監督/シシー・スペイセク主演)

映画も勿論、恐怖と哀しみに溢れた大傑作だが、それよりも何よりこのVHSビデオのジャケットが怖い。子供の頃、9歳上の兄(ホラー映画好き)の部屋にこのビデオが置いてあって「何だこの血まみれの女は!」と心底ビビったのだが、当時、兄の部屋にしかテレビゲームが無かったので、一生懸命ビデオジャケットを見ないようにしながらドラクエをやっていたのを覚えている。(ビデオに近づくのも怖かったので視界から隠せなかった) (てか、映画の内容にほとんど触れてない)


8.フェノミナ(1985伊/ダリオ・アルジェント監督/ジェニファー・コネリー主演)

まだ十代半ばの超絶美少女ジェニファー・コネリーがド変態監督ダリオ・アルジェントの魔の手によって監禁されたり、ゲロ吐かされたり、蛆虫風呂に入らせられたりと、色々と酷い目に遭う少女いじめ映画の最高峰。少女いじめ映画の最高峰!(重要な事なので2度言う)


9.地獄の門(1980伊/ルチオ・フルチ監督/クリストファー・ジョージ、カトリオーナ・マッコール主演)

正直、恐怖を通り越して呆気にとられる事も多いルチオ・フルチのやりすぎグロ映像大行進映画。これか『ビヨンド』か迷ったが、女の子が口から内臓をゲボゲボ吐き続けるシーン(無駄に長い)が未だに怖いのでこっち。


10.
子供の頃、人一倍恐がりだった俺に9歳上の兄(ホラー映画好き)は色々な怖い話を聞かせ、俺がビビる様子を楽しんでいたのだが、その中でも一番インパクトがあったのが小学三年生の頃に聞かされたこの話。

兄「あのな、◯◯(俺の名前)。アメリカには凄い映画があってな。タイトルが『サンド』ていう作品なんやけど。「サンド」ていうのは英語で「砂」のことや。お前も聞いた事あるやろ。で、ここで言う「砂」はテレビの砂嵐のことやねん。見た事あるやろ?夜中に何でか目え覚めて、ふとテレビ付けたら、画面が白黒のざらざらした感じになっててザーッてゆうてるだけところ。あれのことや。あれ気持ち悪いな。何かずーっと見てたら、普段テレビでは絶対見せられへんモンとか出てきそうで。 …で、この『サンド』いう映画な。これ自体は大した事ないホラー映画やねんけど、それの終わり、エンドマークが出た後に突然ザーッと砂嵐が流れて、その後に撮影後の様子が出てくるねん。最初は何かにこやかに話してんねんけど、途中で監督と主演の女優さんが映画の内容の事で大喧嘩しだすねんな。そんで、しまいには怒った監督が女優さんをナイフでホンマに殺してしまうところが写ってもうてんねんて!それで…」
俺「ぎゃー!お兄ちゃん怖い!もうやめてー!」

…いやまあ、今聞いたら「んな、アホな」で済ませれる話だが、何も知らない子供時代の俺には相当の衝撃だった。
んで、大人になってから色々と調べてみて行き着いたのがこの作品。

スナッフ(1976爾・米/マイケル&ロベルタ・フィンドレイ監督)

まあ、この手のエクスプロイテーション映画の話題になると、必ず取り上げられる有名作ですな。
おそらく「スナッフ」という単語ではイマイチ伝わりにくいだろうと考えて
スナッフ→スナ(ッフ)→砂→サンド
と判りやすいタイトルに改題したのだろう。兄なりの弟へ向けた配慮ですね。そんな優しさいらんけど。
因みに映画自体は観ていません。いまさら観てもガッカリするだけのような気もするし、恐怖の思い出として心の中に閉まっておこうと思います。



以上。ざっと見返してみると何だか子供の頃の怖かった記憶に引き摺られている部分が多いなー。
これ以外にもベストテンに入れたかったのは『ザ・チャイルド』とか『遊星からの物体X』とか『デビルズリジェクト』とか『シャイニング』とか『ミスト』とか『ポゼッション』とか『ハイテンション』とか『サンセット大通り』とか『CURE』とか『蜘蛛の瞳』(というか黒沢清の作品で怖くないのって『ニンゲン合格』ぐらいしか思い浮かばない。いっその事「黒沢清全般」でランキングさせたい程)とか、ホント挙げたら際限無くて面白いですね。そして、怖いですね。

人生に影響を与えた45曲

スカパーのフジテレビNEXTで放送している「MUSIC SOUP -45r.p.m.」というTV番組の「人生に影響を与えた45曲」という企画が面白そう*1なので、真似してやってみます。まあ、俺はミュージシャンでも音楽の造詣が深い訳でもないので「人生に影響を与えた」って程でもなく、子供の頃から最近まで、愛聴していた時期の記憶が蘇るような曲をセレクトしました。数組のアーティストに偏りそうだったので、1アーティストに付き1曲という縛りを付けました。


1. A Hard Day's Night / The Beatles

2. 妖怪にご用心 / 中山千夏ドロロンえん魔くん エンディング)

3. Take On Me / a-Ha

4. Iron Man / Black Sabbathロード・ウォリアーズのテーマ)

5. サマーヌード / 真心ブラザーズ

6. Jealousy / Pet Shop Boys

7. 雪が降る町 / UNICORN

8. The Passenger / Iggy Pop

9. Coney Island Baby / Lou Reed

10. ノゾミ・カナエ・タマエ / 筋肉少女帯

11. Alma Matters / Morrissey

12. How Soon Is Now? / The Smiths

13. N.O. / 電気グルーヴ

14. Regret / New Order

15. Transmission / Joy Division

16. Friday I'm In Love / The Cure

17. 僕の踵はなかなか減らない / 斉藤和義

18. Generals And Majors / XTC

19. Parklife / Blur

20. Don't Look Back In Anger / Oasis

21. Exit Music (For a Film) / Radiohead

22. 雨をみくびるな / キリンジ

23. Hundred Mile High City / Ocean Colour Scene

24. あの娘ぼくがロングシュートを決めたらどんな顔するだろう / 岡村靖幸

25. VIDEO KILLED THE RADIO STAR / ロリータ18号

26. ダニー・ゴー / Thee Michelle Gun Elephant

27. Wish / Nine Inch Nails

28. The Hell Of It / Paul Williams

29. ガタガタゴー / THE HIGH-LOWS

30. 東京 / くるり

31. Needle In The Hay / Elliott Smith

33. Cigarettes Will Kill You / Ben Lee

34. TRAMPOLINE GIRL / NUMBER GIRL

35. Where Is My Mind? / Pixies

36. 昆虫ロック / ゆらゆら帝国

37. PLANET / SUPERCAR

38. 夜明けの歌 / eastern youth

39. いっせーのせっ! / 中村一義

40. Race for the Prize / The Flaming Lips

41. Always Look On The Bright Side Of Life / Monty Python

42. Midnight Radio / Hedwig and the Angry Inch

43. 茜色の夕日 / フジファブリック

44. Typical / Mute Math

45. KIMOCHI / ZAZEN BOYS





一応、自分なりの時系列に並べようとしたのですが、いざやってみると細かい時期の記憶が曖昧で、結局、ほぼ順不同になってしまいました。当初は「45曲も選べるか?」と思いましたが、実際やってみると足りないくらいで、泣く泣く削った曲もありました。THUNDER STORM(天龍源一郎のテーマ)とか。
これは色んな方のセレクトが見たくなる企画ですね。ぜひぜひ。

*1:スカパー契約してないから見たことないけど

私的シネマランキング2011 11位〜108位

続いて108位までの発表。まずは私的シネマランキング11位〜30位までの発表です。この辺まではベストテンと同等レベルに好きです。


11位 ソーシャル・ネットワーク

Facebookという、俺にとって1ミクロンも興味が無い題材ながら、膨大な情報量を無駄なく詰め込み、全く飽きることなく最後まで持っていく力作。


12位 イップ・マン 葉問

何度でも言う。『イップ・マン』は『序章』より『葉問』!!リピート・アフター・ミー!!まあ、物語はすこぶる単純だし、イギリス人の描写とかはちょっと頂けないのだが、漢(おとこ)達の「炎の友情」に熱くなる事間違いなし。サモ・ハン最高!


13位 単身男女

俺の興味がない「白い」側のジョニー・トー作品は、ド直球なラブコメディの傑作。「OLと証券会社社長と天才建築家の三角関係」というクソみたいな題材に、正直、序盤は「けっ!」っと心の中で思いながら観てたのですが、物語のテンポの良さと、コメディ展開の見事さで、後半になるにつれて「ああ、どうなるのかしら」と作品世界に引き込まれていきました。監督作常連のラム・シューがヒロインの上司役でコメディリリーフとしてイイ味を出してました。とりあえず、一刻も早く一般公開しなさい。


14位 ブラック・スワン

『レスラー』ミーツ『キャリー』。そして、ナタリー・ポートマンのオナニーシーンはエロかった。
過去に書いた感想


15位 ミッション:8ミニッツ

映画通ほどダマされたかどうかは知らんが、前作『月に囚われた男』に続き、またまた実直な作りの良作SF映画。もっともカタルシスのあるストップモーションシーンで終わってたらもっと良かった。


16位 ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル

過去作未見でも十分楽しめる王道アクション映画。トムくん率いるスパイ・キッズのみんなが大活躍!!一番の見所は貨物列車に搭載された網膜認証システムのセキュリティを解除する為に、トムくんが列車の横を並走しながら、認証システムに自分の眼を認識させようと、ぴょんぴょん飛びつくシーン。まさかここにきてトム・クルーズに萌えるとは思わなかった。


17位 探偵はBARにいる

数多の昭和ハードボイルド作品の影響を感じさせつつ、大泉洋のシリアスにもコメディにも対応出来る(あとバラエティー的に言うとツッコミ役に回れる)振り幅の利くキャラクター性を存分に活かした作風で、只のオマージュや剽窃作とは異なった現代の作品になっています。大泉・松田龍平の探偵コンビは程よく対比した良い組み合わせだったので、是非、シリーズ化して頂きたいものです(続編は決定したんだっけ?)


18位 宇宙人ポール

宇宙人とSFオタク二人のロードムービー。過去のSF映画に対する愛情が斜に構えてない感じなのがいい。過去作『スーパーバッド 童貞ウォーズ』を観たときも思ったが、ホントにこの監督さんホモソーシャルなテイストが好きなのね。


19位 ザ・ファイター

クリスチャン・ベールが『蒲田行進曲』でいう風間杜夫で、マーク・ウォールバーグ蟹江敬三。最後に蟹江ウォールバーグが「俺の映画だ!!」ってブチキレるおはなし。敢えてテレビの映像のようなボクシングシーンを多用し、本当のボクシング中継を見ているかのような体験をさせるクライマックスのタイトルマッチシーンの演出はお見事。


20位 悪魔を見た

殺人鬼オールスターズによる血塗れお祭り映画。メインイベントは”技のイ・ビョンホン” VS. ”力のチェ・ミンシク”の時間無制限3本勝負!!
過去に書いた感想


21位 イップ・マン 序章

『イップ・マン』は『序章』より『葉問』!!(しつこい)


22位 昼間から呑む

酒と何かと男と女な韓国産コメディ。初期の山下敦弘監督作品(「どんてん生活」「ばかのハコ舟」辺り)を思い出した。


23位 ピラニア3D

俺もあんなお酒の飲み方ができるおとなになりたい。
過去に書いた感想



24位 MAD探偵

俺の大好きな「黒い」側のジョニー・トー作品。みんなきちがいがすぎる。


25位 デンデラ

瑕疵だらけだけど嫌いになれない作品。
過去に書いた感想


26位 監督失格

平野監督の林由美香に対する愛と、自己愛の濃密さを感じた。


27位 ハンナ

闘う事でしか生きられない孤独な少女の成長譚をテーマとしたケミカル・ブラザーズの長尺PV集のよう。追手から匿ってもらった安宿で、文明の利器による攻撃(テレビ!ポット!シャワー!)に四苦八苦するハンナちゃんは今年最高の激萌えシーン。


28位 猿の惑星:創世記

まさか猿の惑星で泣けるとは思いませんでした(身を挺して仲間を庇おうとするゴリラの勇姿に男泣き)


29位 スプライス

イレイザーヘッド』や『エイリアン』、クリス・カニンガムのPV等をベースに、SFとサスペンスとホラーの様々な要素を混合させて作り出したフリークス。


30位 スペイン一家監禁事件

「もしも『ファニーゲーム』をブライアン・デ・パルマが撮ったら…」といった趣き。この手のジャンルが苦手でない人なら一見の価値あり。



続いて、30位〜50位。この辺も高評価の作品ばかり。


31位 イリュージョニスト

物語の流れや見せ方が古典的なサイレント映画のような佇まいの作品。手描き画と3DCGの扱い方が絶妙。


32位 富江 アンリミテッド

前半は色々と微妙な出来だったが、井口監督の作家性が剥き出しとなる終盤の急展開に不意打ちを食らってしまい、不覚にも感動。これだから彼の作品は見逃せない。


33位 ファンタスティック Mr.FOX

絵本「すばらしき父さん狐」の世界を見事に実写化させた画作りに感嘆。


34位 アジョシ

世評は高いが、言ってもウォンビン様のスター映画なので、結構ヌル甘い部分も多い。それでもこのジャンルでこの水準の作品が撮られる韓国映画界が心底羨ましい。


35位 イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ

バンクシーによる遠回しな村上隆dis


36位 グリーン・ホーネット

「ボンクラ度五割増しの『アイアンマン』」若しくは「もしキック・アスのデイヴがボンボン社長だったら・・・」といった設定のおもしろ映画。 感想



37位 ビー・デビル

こっちの方が『悪魔を見た』に相応しい。


38位 リアル・スティール

まんま『ロッキー』な展開に苦笑いしつつも、やはりアガる。


39位 孫文の義士団

これまたベタベタで判り易い展開なのだが、やはりアガる。


40位 八日目の蝉

未だに井上真央のうつ伏せ寝のシーンは納得出来ない。


41位 マネーボール

観る前はブラピのオレ様映画かと思ってたが、意外とジョナ・ヒルのボク様ちゃん映画だった。立派になったねえ(涙)


42位 ばかもの

何かとダサい部分も多々あるんだけど、色々要素が詰まりまくって下手すれば散漫になりそうな物語を力技で纏め上げた金子監督の底力が見れた作品。


43位 デビル

シャマラン謹製。登場人物のセールスマン風の男が大泉洋に似てる。


44位 私だけのハッピーエンディング

『50/50』で描けてなかった、当然あるべき心理描写をしっかり見せていたのが好印象。


45位 シリアスマン

「ごく普通の主人公が周囲の人間の所為で不条理な不幸に陥る」的展開はもはやコーエン兄弟お家芸


46位 この愛のために撃て

変則的なバディムービーの良作。


47位 人生、ここにあり!

精神病院という扱いにくい題材をモチーフに、笑いと悲しみを上手く絡めあわせた作品。


48位 エリックを探して

フットボール版『ファイトクラブ』 感想


49位 4デイズ

色々問題ありそうな題材を扱いながら、ちゃんとハリウッド映画として成立している。これは凄い。


50位 サヴァイヴィングライフ ─夢は第二の人生─

さすがのヤン・シュヴァンクマイエルも予算不足には勝てないか。



ここから51位〜80位まで一気に。この辺も好きな映画ですね。

51位 電人ザボーガー
   お願いだから井口監督は『ゼブラーマン』をリメイクしてください。
52位 ムカデ人間
   キチガイ博士の「破壊なくして創造なし」という破壊王イズムに惚れる。
53位 トゥルー・グリット 
   馬がんばった。
54位 SUPER 8/スーパーエイト 
   エル・ファニングちゃんかわいい 過去に書いた記事
55位 英国王のスピーチ 
   大迫力の会話劇。
56位 making of LOVE 
   恋愛とSFとファンタジーとコメディとホラー。で、フェイクドキュメンタリー。おもろい。
57位 デュー・デート 〜出産まであと5日!史上最悪のアメリカ横断〜 
   イーサンは、はた迷惑なヤツだが何故か憎み切れないという奇跡のキャラ。
58位 ドリーム・ホーム
   一連のゴア描写が、痛そうモノなから徐々に笑える過剰なモノになるのが素晴らしい。
59位 レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー
   殺人鬼ものとアニマルホラーと大自然の恐怖映画の要素を併せ持つ怪作。
60位 50/50 フィフティ・フィフティ
   JGLちょっとデキた人過ぎた。アナ・ヘンドリックは相変わらず素敵。
61位 毎日かあさん
   ワンシーンだけ登場する木下ほうかのキャスティングが絶妙。
62位 エンジェル ウォーズ
   出だしはサッカーパンチで、その後エンジェルウォーズが4本立てで続いて、急にサッカーパンチになって終わった映画
63位 ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える
   粗チンはモザイクなしでOKなのに、何故デカチンは駄目なのか?という根深い疑問を映倫に投げ掛ける問題作
64位 モンスター上司
   デイルのケースは普通に羨ましい。
65位 ソウル・キッチン
   媚薬ってホントにあるのか?あるなら俺に…
66位 ランゴ
   予想外にジョニデだった。
67位 kocorono
   不惑を迎えてもなおロックで飯を続けていく事の難しさと楽しさ。 
68位 ランナウェイズ
   ダコタ・ファニングちゃんお綺麗。
69位 ラビット・ホール
   こっちの方がよっぽど『ラビット・ホラー3D
70位 アリス・クリードの失踪
   観に行った回で、前の席がレズビアンカップルだった。なんたる偶然!
71位 RED
   ジョン・マルコヴィッチが全部もってった。
72位 キッズ・オールライト
   ジュリアン・ムーアっていつもムダにセクシーよね。
73位 ウィンターズ・ボーン
   連続殺人鬼の出てこない「田舎に行ったら襲われた系ホラー」。こわい。
74位 わたしを離さないで
   キーラ・ナイトレイは徐々に怖くなってくるな。好きな女優さんなのだが。
75位 極悪レミー
   レミーの言動を観ていて、少し中島らもの事を思い浮かべた。
76位 インモータルズ
   ランディ・“ザ・ラム”・ロビンソンは頑張ってた。ヘンな被り物付けて。
77位 恋の罪
   やすいエロ漫画みたいな女性の心情に描かれ方にげんなり。
78位 新少林寺
   物語の八割方どうしようもないが、クライマックスの超絶展開は最高。
80位 SOMEWHERE
   エル・ファニングちゃんマジ天使。


はい、ラスト81位〜108位まで。この辺りはちょっと微妙な出来なのも多い。



81位 クロエ
   リーアム・ニーソンが色々と大変な目に遭う映画。
82位 アンノウン
   リーアム・ニーソンが色々と大変な目に遭う映画。(その2)
83位 KG カラテガール
   武田梨奈ちゃんは頑張ってた。
84位 世界侵略:ロサンゼルス決戦
   ミシェル・ロドリゲスが黒のタンクトップ姿にならない時点でダメ。
85位 スカイライン−征服−
   主演の俳優の顔は、『KG』に出演していた堀部圭亮に似ていた。
86位 第7鉱区
   精液怪物が鉄塔をよじ登る姿は可愛かった。
87位 ロシアン・ルーレット
   この設定でこれだけ薄い話を作られても困る。 感想   
88位 ブルーバレンタイン
   『(500)日のサマー』に続く「恋愛ホラー第2弾!」なんだけど、「〜サマー」と比べると只怖いだけの映画。
89位 ピザボーイ 史上最凶のご注文
   主人公を含めた物語の登場人物全員に愛着が湧かなかった。
90位 モールス
   「ネコがニャー!!」が無いのはいかがなものか?
91位 七つまでは神のうち
   序盤のテンションは良かったのだが、恐怖の見せ方が一過性で直ぐダレた。
92位 堀川中立売
   予備知識を入れずに映画を観に行くのも考えものだな。よく判らんかった。
93位 アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ストーリー
   みんなドラッグやりすぎ。   
94位 ヒア アフター
   この設定でこんなに真面目に語られても困る。
95位 127時間
   まあ、あのシーンは凄いんだが、中身は「アンビリバボー!」だよな。
96位 アイ・アム・ナンバー4
   海外TVドラマのパイロット版みたいな映画。
94位 プリンセス トヨトミ
   綾瀬はるかが巨乳を揺らしながら大阪の街を走ります!2回も!
97位 コンテイジョン
   グウィネス・パルトロウの頭ぺろーん。
98位 アベックパンチ
   武田梨奈ちゃんは頑張ってた。(2回目)
99位 ツリー・オブ・ライフ
   はっきり言う。よく判んない。
100位 タンタンの冒険
   誰かのつぶやきで「まるでゲームのオートプレイモードを見ているよう」というのがあった。とても的を射た感想。
101位 カウボーイ&エイリアン
   この設定でこんなレベルの物しか作れないのは本当に困る。
102位 アジャストメント
   なんかトレンチコートの紳士が頑張ってた思い出。
103位 コリン
   頑張りは判るが劇場でかけるレベルじゃない。
104位 モテキ
   今作の関係者は楽曲を使用したミュージシャン達に土下座しながら全員死ね。
105位 トロン:レガシー
   質の悪いダフト・パンクの長尺PV。 感想
106位 ラビット・ホラー 3D
   こわくない。緒川たまきにうさぎの着ぐるみを被せるというアイデアはおもろい。
107位 さや侍
   テレビでやれ。 感想
108位 インシディアス
   ほとんど記憶にない。




以上!さすがに疲れた。今年も良い映画に巡り会えますように!!

私的シネマランキング2011 ベストテン

去年と同じく、今年劇場で鑑賞した映画全108本(リバイバル、特集上映を除く)をランキング形式で発表したいと思います。はてさてどうなることやら。

まずは、早速ベストテンから。


1位 スーパー!

二回目の鑑賞からは、まるでハッピーエンドのヒーロー映画のエンディングのような、多幸感溢れまくりの爽快な手書きアニメ風のオープニングを観ただけでも泣けてくる…。
愛する者の為にスーパーヒーローになろうとした冴えない中年男性が、困難や犠牲を経て、市井の人に還るおはなし。後で知ったのだが「super」という単語には「すごい、素晴らしい」的な意味以外に 「(物語の)端役、通行人役」って意味もあるそうだ。
よく引き合いに出されていたが、あのラストシーンの、壁に貼られた前妻の子供達から贈られたであろう幾枚もの絵を眺めるくだりは、『タクシードライバー』でのトラヴィスを英雄視した新聞記事の切り抜きやアイリスの両親から感謝の手紙が貼っているシーンや、または『アバウト・シュミット』での、シュミットが養父として援助しているアフリカの少年が描いた絵を前に涙するシーンを想起させる。どちらも幸せな終わり方じゃない。結局は何も変わらないし、結局は皆、孤独に還る。……まあ、それでも、あれだけの事をした主人公に対して、あの終わり方では少し甘いとは思いますが。*1
ただ、映画として瑕疵も多いし、真っ当な倫理観から考えれば、はた迷惑なキチガイのおっさんの話なので、否定的な意見があるのも判ります。でも、いいんだよ!こんな世界、狂わないとやってられるか!!てか、俺は「せめて、映画の中でくらいヒーローとして殺してやってくれ」と思ったよ!


あ、もちろん、今作でもエレン・ペイジは完璧ですよ。徹頭徹尾キチガイ少女で最高です。はっきりいって、彼女が魅力的だったのが1位の要因のひとつ。



2位 メアリー&マックス

観る前は「大人の鑑賞にも堪えうる(大嫌いな表現)ちょっと感動のクレイアニメーション」くらいの気持ちで高をくくってたのだが大間違いでした。陰鬱でシリアスなテーマを、真摯で且つ優しい視点で描かれている、脳みその奥深くまで感動が響き渡る素晴らしい作品。これはクレイアニメーションという表現方法だから成立する作品なんでしょうね。実写映画だったら重すぎて観ていられないと思う。まあ普段からネガティブ思考なんでメアリーにもマックスにも感情移入しまくりでしたよ。何というかメアリーとマックスの距離感が良い。各々の住む世界の色合い(マックスの世界はモノクロ。メアリーの世界はセピア色)からも推し量れるように、二人の生きている人生は別々。お互いが抱えている孤独も似通っているようでいて実際は異なるもの。だから全て理解しあえる訳がない。けれども、それぞれが違う道を歩む中で、時折、交わることがある。それでいい。俺は、普段からTVなどで見受けられる「君は一人じゃない」的なメッセージに違和感を感じる方なので、この作品くらいの距離感がちょうど良かった。終わり方も救いがないと言えばそうなんだけど、全てが集約された素敵なラストだと思います。「The Typewriter」であるとか「Que sera sera」とかベタな音楽の使い方も好み。



3位 塔の上のラプンツェル

鑑賞後の多幸感は今年一番でした。ホントに最初から最後まで全て良く出来ていた素晴らしい映画。母親の偏愛に束縛され続けた少女が、それを断ち切り自由で自立した世界へと旅立つ不安と喜びを描いたおはなし。個人的に3D映画には食傷気味だったんだが、今作は3Dの効果が巧みで違和感なく使われており、3D作品にありがちな「ホラ飛び出してるでしょ?」「ホラ奥行きがすごいっしょ?」みたいなドヤ感がなく、ごく自然に世界観の中に調和されていた。そして、唯一3Dの「飛び出し効果」を遺憾なく発揮させたラプンツェルが憧れ続けたランタンの灯りのシーン。そのあまりの美しさに思わず俺も劇場内で少しだけ手を伸ばしました。主人公のラプンツェルもとても魅力的。とくに母の禁を破って塔から出たときに見せるハイとロウのループはとても可笑しくて愛らしい。それとヘンな表現だが、彼女の演技力が素晴らしかった。『トイ・ストーリー3』の時も3Dキャラの演技力に驚かされましたが、今作はそれ以上。ラプンツェルは表情だけで演技が出来る名女優!当初、不安の種だったしょこたんの吹き替えもお見事。



4位 スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団

格闘ゲームを始め、様々の8bitゲームや音楽に彩られているが、根底に流れているのは「好きになった女の子が実はビッチだったけど、あなたならどうする?」というテーマのド直球な恋愛映画。鑑賞中に思い起こしたのはケヴィン・スミス監督の『チェイシング・エイミー』だった。
よくネット上で使われる冗談で「リア充、爆発しろ!」*2ってのがあるが、今作で示しているのは「リア充は爆発しない」もとい「リア充は爆発を厭わない」ということ。たとえ爆発したとしても経験を積んで1upをしてコンティニューをし、同じステージを愚直にやり直してレベルアップをし、過去の失敗を活かしてステージクリアを目指す。これは恋愛だけに関わらず、生きて行く上では当然必要な事柄。爆発しろ!とかいう人は、その前に、彼のように爆死も耐えうるタフネスさを身に付けるべきだね。

でまあ、俺もスコピル君の勇気やタフさを見習いたいので、とりあえず、まずは17歳の女子高生とお付き合いを…(俺が爆発しろ)



5位 ラブ・アゲイン

3世代の恋愛模様を軸に、どんどん派生していく物語を、中盤に見事に集約し大爆笑させた後に、最後にグッと感動的な収まりをつけた素晴らしい作品。主要キャストが全員魅力的。スティーヴ・カレルは今回も冴えない男がハマってたし、『ラースと、その彼女』『ブルーバレンタイン』とカレルと同じく冴えない役のイメージが強いライアン・ゴズリングのプレイボーイ役もサマになってました。てか、彼だから後の純愛展開も納得出来たのかも…。女優陣も何役をやっても無駄に艶っぽいジュリアン・ムーアや、中盤で予想外の展開を見せる「ライアンの彼女役」のエマ・ストーンは勿論、素晴らしかったし、かなりクレイジーな役柄で扱いによってはかなり嫌悪感を抱くか、可哀想な役柄になりそうなマリサ・トメイも素敵でした。そして個人的にツボだったのはカレルの息子役のジョナ・ボボと、その子守役のアナリー・ティプトンちゃんですね。中学生時代にあんなお嬢さんが傍にいたら俺もイカレてるよ。判るぜ!判るぜ、坊主!!…でも、ベーコンさんの扱いだけちょっと可哀想でしたね。
まあ、冷静に考えれば、どいつもこいつも言ってることもやってることも滅茶苦茶じゃないかという気もしますが、滅茶苦茶でいいんだよ!原題は「気の触れた、愚かな、愛」なんだから。



6位 ミスター・ノーバディ

物語の主軸は主人公の少年ニモの成長と、その過程で出会う3人の少女との恋愛。そして、そこからの選択肢により様々な人生模様に派生していく。その物語全てが一編の掌編・短編映画として成立するほど丁寧に作られており、それを断片的に鏤めている。よくミュージシャンのアルバムを褒める際に「捨て曲無し」という言葉を使うが、この映画には「捨て物語無し」という言葉を贈りたいです。CG全盛のこの時代ならではの極限表現ともいえる圧巻の映像美の連続で観る者を惹き付け、且つ『バタフライ・エフェクト』辺りを想起させる平行未来の複雑な物語を巧みな編集と小気味よいテンポで、最後まで緊張の糸を途切れさせる事無く魅せるジャコ・ヴァン・ドルマル監督*3の腕前には感服しきり。…だが、極彩色の大風呂敷を最後は畳みきれなかった感もあります。まあ、あそこまでの美しい映像表現と巧みなストーリー展開で物語を運ばれたら、最後にどんなエンディングを持ってきても、多少の不満は感じたとは思うけどね。物語自体は過去のSF作品とかで散々語られたような設定だったけど、それを真摯な迄に完璧に映像化しているので、不思議と古臭さは感じませんでした。



7位 冷たい熱帯魚

でんでんから諏訪太朗まで、登場人物の配役が全てハマってた印象。過去感想に書いたように、残酷な行いばかりのシーンでも不謹慎かなと思いつつも爆笑してたんだけど、今思えば、「みんなー!ハッピーかーい?」でおなじみの『お笑いスター誕生!!』出身のでんでんと、「ロボコップ演芸」などの持ちネタもある、元「WAHAHA本舗」の吹越満が主演なんだから、笑えるのも当然なのかな。

過去に書いた感想



8位 X-MEN:ファースト・ジェネレーション

熱い!アツすぎる!今年一番、純粋に燃えた娯楽作品。チャールズとエリックのBL的関係性に萌えた作品でもある。ただ、今思い起こせば一番印象に残っているのは、クライマックスでチャールズの能力のより動きを止められた筈のケヴィン・ベーコンが小刻みにぷるぷる震えているシーン。

過去に書いた感想



9位 大鹿村騒動記

最近、当り作に恵まれなかった阪本順治監督の起死回生の一発となった作品。勿論、今年7月に惜しくも他界した主演俳優・原田芳雄の遺作でもあるのだが、そういう事は抜きにしても、多くの人に観てほしい痛快喜劇。

過去に書いた感想



10位 たまの映画

元々、俺は「たま」というバンドに思い入れも知識もあんまり無かったのですが(メンバーの顔と名前は一致する程度)それでも、十分に楽しめました。今作は、この手の解散した人気バンドの回想ドキュメンタリーにしては珍しく過去の映像は出てきません。元たまの3人とそれを取り巻いた周囲の関係者の過去回想と、各々の現在の活動を追いかけた映像がメイン。だから、彼等の人気絶頂期を懐かしみたい人には肩透かしかもしれませんが、俺はこの方が良かったと思います。なぜなら、現在の元たまのメンバー3人がそれぞれ個性的で、その各人の語りと現在のライブ風景が魅力的だったから。現在の姿が魅力的ってのは素晴らしい事ですよ。とくにラストの知久寿焼の歌や、パスカルズ(知久と石川が参加している大所帯バンド)のライブ演奏から溢れ出す多幸感は素晴らしく、近くにライブで来たら是非とも観に行きたいと思いました。
何より、各人が口を揃えて「やりたい事が出来ていて楽しい」と前向きな発言をしていたのがすごく良かった*4。もしかしたら虚勢かもしれないし、世間的には一発屋で不幸なイメージとかありそうだけど、みんないい歳をしたオッサン達になりながら自分のペースで着実に歩いてて、すごく魅力的に映ってる。それが一番素晴らしいです。当時の狂騒の中でボロボロに消耗されながらを活動してきた彼等の口から、その言葉が聞けてホントに良かった。だからタイトルは『たまの映画』ですが、内容はあくまで現在の姿を主題に描いた『「元」たまの映画』という印象です。
ただ最初に「3人」と言ったように、残念ながら今作には解散前に脱退した柳原幼一郎は出てきません(オファーはしたが本人が拒否)。でも個人的に(多分、世間的にも)「たま」といえば4人なので、『たまの映画』としては不完全だと思います。是非とも、今泉監督には柳原を含めた4人での『たまの映画:完全版』を撮って頂きたいです。絶対面白いよ。



…というわけで


1位 スーパー!
2位 メアリー&マックス
3位 塔の上のラプンツェル
4位 スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団
5位 ラブ・アゲイン
6位 ミスター・ノーバディ
7位 冷たい熱帯魚
8位 X-MEN:ファースト・ジェネレーション
9位 大鹿村騒動記
10位 たまの映画


以上が2011年のベストテンです。11位以下を含めた全作ランキングはまた後日。

*1:理想としては施設か何かで子供から贈られてきた1.2枚の絵をウサギのぬいぐるみでも抱えながら虚ろな目で観ている…くらいが丁度いいよ

*2:便宜上、使用してますが「リア充」って表現はあまり好きではありません

*3:てか、『八日目』から13年間、何やってたんだ?

*4:とくに「たまのランニング」こと石川浩司が居酒屋でうつ向き気味に、現在の四人を「でも、みんな音楽だけで喰っていけてて、嬉しい」と語るシーンは、それまでの彼のイメージからのギャップでちょっと泣きそうになった。

2011年に鑑賞した映画リスト覚え書き(下半期)

2011年劇場で観た映画リスト。続いて下半期。7〜12月。(1〜6月はコチラ / 2011年に鑑賞した映画リスト覚え書き(上半期) - 殺風景の記録


7月

ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える
デンデラ
大鹿村騒動記
アイ・アム・ナンバー4
スペイン一家監禁事件
イグジット・スルー・ザ・ギフトショップ
ムカデ人間
アベックパンチ
デビル

新作映画は9本鑑賞してます。これ以外にも「午前10時の映画祭」で『ゴッドファーザー』を鑑賞。あ、あと新世界の映画館へ『スコピル』、『マチェーテ』、『ミスター・ノーバディ』を観に行ってホモのおっさんに襲われかけたのもこの月w 作品としては『デンデラ』、『大鹿村騒動記』と爺さん婆さんが主役の日本映画2作が印象深い。『スペイン一家監禁事件』、『ムカデ人間』と、近年よく見る安易なリメイク物ではない非アメリカ(スペインとオランダ)のホラー映画も良作だった。


8月

レイキャヴィク・ホエール・ウォッチング・マサカー
モールス
スーパー!
七つまでは神のうち
ラニア3D
ハンナ
ツリー・オブ・ライフ
この愛のために撃て
人生、ここにあり!

新作映画は計9本。それ以外には、デジタルリマスターされたマイケル・パウエル共同監督の名作『赤い靴』、悲しくも昨年、自ら命を絶った池田敏春監督の代表作『人魚伝説』、「浪花の映画大特集」で高橋伴明監督作『TATTOOあり』を鑑賞。あ、3作ともシネ・ヌーヴォですな。新作の中では、やはり公開前から期待大だった『スーパー!』がずば抜けてインパクトがあった。


9月

インシディアス
世界侵略:ロサンゼルス決戦
アジョシ
ラビット・ホラー 3D
4デイズ

この月は何故か仕事が忙しくなり、残念ながら新作映画5本のみの鑑賞となった。といっても「平野勝之特集上映」で『由美香』、閉館間近だった高槻セレクトシネマで『紅の流れ星』、『女番長 野良猫ロック』と3本鑑賞してるので、結局普段と変わらんか。この中なら『アジョシ』が安定した韓国映画クオリティだったのと、『4デイズ』が意外な拾い物だった印象。


10月

監督失格
アップサイド・ダウン:クリエイションレコーズ・ストーリー
猿の惑星:創世記
探偵はBARにいる
サヴァイヴィングライフ ─夢は第二の人生─
カウボーイ&エイリアン
電人ザボーガー

10月は合計7本。『監督失格』、『探偵はBARにいる』、『電人ザボーガー』と全くジャンルは異なる日本映画3作が印象に残る。全体的に今年は邦画が結構、豊作の年だったか。逆に『カウボーイ&エイリアン』、『世界侵略:ロサンゼルス決戦』、『スカイライン』と宇宙人侵略ものは肩透かしだった感がある。


11月

ウインターズ・ボーン
ランゴ
ミッション:8ミニッツ
モンスター上司
インモータルズ
恋の罪
マネーボール
第7鉱区
ラビット・ホール
コンテイジョン
ラブ・アゲイン
少林寺

11月は計12本。プラス、リバイバル上映のエミール・クストリッツァ監督作『アンダーグラウンド』、「ヘルツォーク傑作選2011」で『小人の饗宴』、『キンスキー、我が最愛の敵』、『フィツカラルド』の4本で合計数最多の16本鑑賞。…いや、決して暇なわけでは無いハズ!!この月は『ミッション:8ミニッツ』、『ラブ・アゲイン』と土壇場でベストテン候補作に出会えた印象。とくに予告編を観る限りでは全く食指の伸びなかった『ラブ・アゲイン』が予想外の傑作だった。


12月

モテキ
50/50 フィフティ・フィフティ
タンタンの冒険
リアル・スティール
ピザボーイ 史上最凶のご注文
ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル
私だけのハッピーエンディング

12月は現時点で7本観てます。あと「午前10時の映画祭」で『卒業』を鑑賞。特筆すべきは、過去作もほぼ未見で全くのノーマークだった『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』が娯楽アクション映画として素晴らしい出来だった事。こういう嬉しい誤算があるから映画館通いは楽しいですね。



…というわけで下半期の新作映画劇場鑑賞数は49本。上半期と合わせて計107本と相成りました。数をこなしたからどうしたって話だけど、やはり「劇場鑑賞数100本超え」はやってみたかったので素直に嬉しい。あと振り返ってみると「twitterでのフォロワーさんの評価に触発されて」てのが目立つ。twitterを始めたのが去年の11月で、それまでは雑誌やブログ等の映画評を頼りにしていたので、ダイレクトに情報を共有して、鑑賞候補を選択できるようになったのは有難かった。
続いて、これらの中からベストを選出する作業に入りますが、正直、全然決まってない。とりあえず今年中に発表できればと思っております。

※追記:12/28に『宇宙人ポール』を鑑賞。新作映画劇場鑑賞本数は108本。煩悩!煩悩!